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2016年5月21日土曜日

個性と伝統を生かす街と建物のリノベーション(8)-創造的修景を考える-

平成28年4月28日、滋賀県彦根市の「花しょうぶ通り商店街」が、経済産業省近畿経済産業局の「近畿のイケテル商店街 33 選」の一つとして報告されました。http://www.kansai.meti.go.jp/3-8ryusa/iketeru/iketeru_newsrelease.pdf

また、花しょうぶ通り商店街を含む付近のエリアが、市内では初めてとなる重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されることがこの5月に決まりました。http://www.denken.gr.jp/archives/Hozontiku/hikone_index.html

今回は夢京橋キャッスルロードに続いて関わらせていただいた、この花しょうぶ通り商店街の修景についてお話します。

花しょうぶ通り商店街には平成10年度の中心市街地活性化法によってファサード整備事業を実現するに至った準備検討段階から関わらせていただき、またファサード改修の実施設計も手がけさせていただきました。



ファサードの整備方針については、伝統的な町家と洋館造りの建物、現代建築などが混在するこの場所の特色を鑑み、外観を何らかのデザインコードで統一的に整えることは避けました。

基本的な方針としては、これまでの使用者によって行われてきた改変部分のうち、余分と思われるものを消去し、そのことで見えていくる個性を生かすことを考えました。そのうえで、この商店街を訪れる人々を、さらに誇りを持ってもてなすための仕掛けや工夫を個々の建物に施しました。

これは、受け継がれてきた伝統的な建築物の中にある合理性と美意識を、新しく創られるものの中に生かし、さらに次なる時代の魅力、活力となる創造を付加していくことです。

また、商店主のもてなしの心(個性)をデザインに反映していくという操作によって、画一的、均等的ではない、まちなみの連帯感や統一感を作っていくことでもあります。

この考え方は前回お話しした夢京橋キャッスルロードの理念である「OLD・NEW」と通底するものです。

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